前回は、江戸の女性たちを虜にした人情本の人気作家、為永春水について見てきたね。
『春色梅児誉美』が大ヒットしたんだった。
さて、今回は“読本”作者として有名な国学者・読本作家の上田秋成(あきなり)について見ていこう。
読本ってなんだ?
読本は、「伝奇小説」とよばれる。
主に中国の古典を参考に、摩訶不思議で怪奇なストーリーなのが特徴だ。
また、ストーリーはほとんどが「勧善懲悪(悪を懲らしめ善行をすすめる)」や「因果応報(良いこと/悪いことに対する報い)」をテーマにして書かれている。
文章が主体なのも特徴の一つに挙げられる。
滑稽本や人情本よりはちょっとお堅いイメージだね。
上田秋成の書いた『雨月物語』って?
上田秋成は、賀茂真淵の弟子だった人から国学を学んでいて、非常に日本の古典に詳しかった。
秋成は国学者でもあり、国学のスペシャリスト・本居宣長とも国学分野で論争したことがあるほどだ。
その豊富の知識をバックグラウンドとして生まれたのが、読本『雨月物語』だ。
発刊された当初は大して人気になった作品ではないんだけど、現代においてはその言葉選びや日本の要素を織り交ぜていることで高い評価を得ている。
まとめ
上田秋成の読本は、現在では近世日本の文学作品を代表する作品、と言われるほど完成度の高いものになっている。
山東京伝や曲亭馬琴などに大きな影響を与えた人としても知られている。