前回は、十返舎一九の滑稽本・代表作である、『東海道中膝栗毛』について見てきたね。
21年間も続く空前の人気作だったよね。
今回は、化政文化を代表する文学作品の一つ・人情本のスペシャリスト為永春水について見ていこう。
為永春水の人生は順風満帆ではなかった
春水は、幼いころから読書が大好きな子供だったという。
そのせいか、ひどい近眼になってしまったという。
その後20代後半で本屋(青林堂)の経営をする傍ら、小説作家を目指して式亭三馬のもとに入門などをする。
そしてこのころから人情本を描き始める。
最初期に出した人情本が小ヒットし、そこから人気作家として人生が始まる・・・と思いきや。
当時の春水は三流の作家や文学を志したばかりの青年たちとの合作ばかりで、次第に人気が落ちていく。
さらに「泣きっ面に蜂」とはこのことで、青林堂が火事で焼失してしまう。
自分の門人や友人はどんどん離れていってしまった。
ここから反省した春水は、自分の力だけで人情本を描き始める。
そうして生まれた作品が『春色梅児誉美(しゅんしょくうめごよみ)』。
春色梅児誉美(しゅんしょくうめごよみ)が女性に大ヒット!
為永春水が合作を止め、独立してから空前のヒットを飛ばしたのがこの作品。
主人公・丹次郎とその取り巻きの芸者や許嫁たちとの愛情と性を描いた。
三角関係の描写でも有名だ。
非常に文章が簡単で読みやすかったことや女性ウケしやすい物語だったため空前のヒット。
江戸の女性たちはこぞってこの本を読みたがったという。
まとめ
春水は『春色梅児誉美』で大成功を収めるけど、天保の改革で「お前の書く人情本はエッチいからダメ!」と言われ春水は捕まり、人情本も絶版に。
罰の執行中に春水は亡くなってしまう。