太平洋戦争は、「日本が南部仏印進駐を行ったことによる日米関係の悪化」が原因、ということをこれまでの記事で見てきたね。
で、ハル・ノートが出されて日本はもう開戦するしかないなと考えたわけだ。
ただ、当時の日本はアメリカやイギリスなどと戦うために必要な「資源」がなかった。
特に石油だね。
マトモにやり合っても資源の差でいつかは負けてしまう。
だから日本は、「短期決戦」を選んだんだ。
まずは太平洋戦争の構造について。
太平洋戦争を見ていくにあたって、どんな国々がこの戦争に関係したのかをざっくり見ておこう。
日本側
まず、日本側の陣営。枢軸国側、なんて言われ方もする。
日本側で実際に戦闘に参加したのは、
- 大日本帝国
- タイ王国
- 満州国
- 中華民国南京国民政府(汪兆銘のほう)
- 蒙古自治邦政府
- ビルマ国
という感じ。
あと、戦争に参加していないけど物資面で援助してくれた国としてはドイツとかイタリア王国があるよ。
まあ、ぶっちゃけタイ王国以下の国々の戦力はそこまで大きなものではなかったから、実際には大日本帝国の戦力がほとんど。
連合国側
対するアメリカ側は、多くの国々が合わさって強大な戦力になっていた。
戦闘に参加したのは、
- イギリス
- アメリカ
- オーストラリア&ニュージーランド
- オランダ
- 中華民国重慶政府(蒋介石のほう)
- カナダ
- ソ連
- フランス(臨時政府)
- 蒙古人民共和国
という感じ。
いっぱいあるけど、主役はアメリカ。ついで、イギリス・オランダ・オーストラリア・中華民国重慶政府。
連合国側はこの5国を覚えておくといいよ。
ちなみに日本とアメリカの国力差、つまり国の豊かさを比べてみると・・。
開戦した当時の時点で、なんと国力差は大体
日本:アメリカ=1:30!
なんと30倍もの差があった。
石油に至っては、日本の生産量の700倍近くアメリカは豊かだった。
だれがどう見ても不利な戦いに日本は突っ込んでいくわけだ。
マレー作戦(奇襲)で太平洋戦争の幕開け
なんとなく太平洋戦争の始まりは真珠湾攻撃、ってイメージがあるけど。
実は太平洋戦争って、真珠湾攻撃が最初の作戦じゃないのよ。
最初の作戦は、このマレー作戦というもの。
日本はこれまで何度も言ってきたように資源がない。
そこで、他国の植民地を占領して資源を奪おうと考えていた。
日本軍は、イギリス植民地のマレー(現在のマレーシアあたり)とシンガポールに目を付けた。
で、1941年12月8日、イギリス領マレーに「宣戦布告する前に」攻撃を仕掛けるという奇襲作戦をやってのけ、これが成功する。
これが太平洋戦争の開始だった。
マレー作戦は、日本軍側が最初から宣戦布告前に奇襲を仕掛ける作戦だったので、この奇襲は予定通り。
ただ問題は、真珠湾攻撃のほう。
宣戦布告前の真珠湾攻撃はぶっちゃけ誤算
真珠湾攻撃の方は、あらかじめ天皇を交えた会議(御前会議という)で
「真珠湾攻撃は奇襲でいいけれども、作戦開始の30分前までには絶対に宣戦布告しとけよ」と念を押されていた。
にもかかわらず、アメリカ駐在の日本大使がミスって真珠湾攻撃の1時間後にアメリカに宣戦布告の文書を渡すという大失態を犯す。
このため真珠湾攻撃は、宣戦布告前の奇襲となってしまった。
なぜ日本は宣戦布告してから真珠湾攻撃しようと考えていたのかというと、日本はアメリカの「反日感情」を高めたくなかったからってのが一つ理由としてある。
アメリカ国民全員が「日本は汚いやり方で攻撃してきた!絶対に許さねぇーぜ!」と団結されたら、ただでさえ戦力差酷いのにさらに悪化しかねないよね。
こうなることだけは避けたかった。
が、結局宣戦布告する前に作戦が始まっちゃって、しかも幸か不幸かこの作戦は大成功してしまう。
アメリカの主力戦艦は沈没するわ、乗組員はたくさんやられるわで大損害を出した。
このあと、日本側が危惧していたように、当時の大統領ルーズベルトが「日本は大変汚いやり方でアメリカを攻撃してきた!絶対に許してはならない!」と国民を煽り、アメリカの“反日感情”が高まっていってしまう。