前編では、荻生徂徠(おぎゅうそらい)の経歴を見てきたね。
幕府に近いにもかかわらず、早い段階で「朱子学」の考え方に疑問を持つようになっていた。
後編では、荻生徂徠が確立した思想について見ていくよ。
古文辞学(徂徠学)を確立!
荻生徂徠は、朱子学について「憶測に基づく虚妄(妄想)の説に過ぎない」と痛烈に批判。
古学派と呼ばれる儒学者たちと同じように、朱子学が「理想論」敵であることを批判したんだ。
そこで、徂徠は古代中国の古典を読むことで真の考えを学ぼうとする「古文辞学」という学問を生み出した。
これは「徂徠学」とも呼ばれるよ。
『政談』で経世論が誕生。
そんな徂徠の著作として一番重要な意味を持つのが、『政談』という本だ。
8代将軍である吉宗からの政治の質問に対して答える形で生まれたもの。
ここで注目すべきは、「経世論」というものが本格的に語られたこと。
簡単に言うと、これは「社会で現実に起こっている諸問題への解決策となる“政治経済論”」のこと。
何がこれまでと違うか。
朱子学は「理想」だけを語っていて、実際に起こっている出来事に対して必ずしも即したものではなかった。
経世論は、現実に即した「政治・経済政策」を行うべきだとするもの。
つまり、客観的に現実を分析して政治を行うことが一番いい、といったわけだ。
まとめ
徂徠の学問は、朱子学の「形式的」な点を批判し、より現実的な考え方をするものだった。
これまで思想にとらわれていた考えを打ち壊したことが非常に重要なんだ。