国風文化が発達した平安時代は、芸術の世界にも変化が起きていた。
まず、仏教に関連した芸術作品の登場。
平安時代中期ごろから、「浄土教」という教えが広まった。
極楽浄土に居るとされる阿弥陀仏を信仰するもので、「南無阿弥陀仏!」と念仏を唱えていれば阿弥陀仏が浄土へ連れて行ってくれる・・・という教えだ。
これに付随して芸術作品が色々生まれる事になる。
また、実際の出来事あるいは『源氏物語』『伊勢物語』といった物語の内容を元に、主に大和絵の技法で描かれた絵巻物も登場する。
来迎図とは
冒頭でも触れたけど、浄土教は阿弥陀仏を信仰する。
浄土教によると、
極楽浄土に居るとされる阿弥陀仏は、「生きとし生けるものはみな浄土へ連れてくることを誓います!」と誓いを立てている。
で、念仏を唱える事でその阿弥陀仏が迎えに来てくれて、仏の力で極楽浄土に行ける・・・らしい。(他力本願、という)
国風文化期では、“阿弥陀様が極楽浄土に連れていくため、自分のところに来てくれる”っていうシーンを絵にするのが流行った。
これが来迎図と呼ばれるもの。
http://www.reihokan.or.jp/tenrankai/specially/10_12.html
大和絵と絵巻物
次は絵画について。
平安時代以前は、絵画の分野も例外なく唐の影響を受けていた。
・・・んだけど、平安時代になって遣唐使が廃止されたことで絵画も日本独自の物へと進化していった。
これを大和絵、という。
大和絵の様式で描かれているものとして有名なのは、絵巻物。
絵巻物ってのは、一言で言うと本分に沿ってイラストを付けたもの。
絵本か、あるいはイラスト付きのラノベを想像してもらえると良い。
『源氏物語』にイラストがついた、『源氏物語絵巻』とかはこんな感じ。
平安時代の大和絵は、まさに日本画の原点ともいえるもので、これが江戸時代とかになると更に発展し、明治期になると「日本画」というジャンルになっていく。
しかし、大変残念なことに大和絵として現存している作品は非常に少ない。
『源氏物語絵巻』もかけている部分が多くて、全部見つかっていないのが現状だ。