前回は、江戸時代の『宝くじ』に相当する賭博『富くじ』について見てきたね。
今回も江戸時代のおもしろい風習や文化の紹介。
「お蔭参り」だ。
お蔭参りはもともと「伊勢参り」
そもそも「伊勢参り」という風習は、室町時代ごろから発生したもの。
中世は戦乱が絶えず、伊勢神宮の領内も相当荒らされてしまい、毎年行っている行事ができなくなってしまっていた。
そこで修理費を得るべく、カレンダーを配りながら全国を回って「伊勢神宮にきてくださ~い」と片っ端からお願いしに行った。
ちょうどそのころ、貧しい農民たちは精神的に疲弊していたので、「伊勢神宮にお参りしといたら現世は無理でも来世は幸せになれるかな・・・」と思い参詣を始める。
これが伊勢参りの始まりだ。
お蔭参りは特殊な伊勢参り
江戸時代には、伊勢参りがちょっと変化して「お蔭参り」というものになった。
これにはいくつかの特徴がある。
- 「伊勢神宮参詣」という目的ならば、庶民だろうと農民だろうとほとんど自由に旅行が可能
- 子供や奉公人などが親や主人に黙って伊勢神宮に行っても、伊勢神宮のお守りやお札を持ち帰ればお咎めなし!
- 「伊勢参り中です!」と言えば、道中ちょっとした施しを受けることもできた
普段は身分的に自由に行動できないような人であっても、「伊勢参りでーす」といえばOKという風潮が江戸時代にはあったんだ。
集団で参詣が行われることがほとんどだった。
このような特殊な伊勢参りを「お蔭参り」という。
まとめ
伊勢参りをするには、庶民にとってかなりのお金が必要だった。
だから「一生に一度は伊勢参りいきたいなあ・・・」という庶民の夢でもあったんだ。