戦後ものすごい勢いで成長してきた日本。途中何度かブレーキはかかったけどそれでも高度経済成長を続けてきた。
そんな日本の高度経済成長がついに終わるときがやってくる。
そのきっかけとなったのが「第一次オイルショック」。
名前の通り、石油が世界に与えた、本当に大きな衝撃だ。
第四次中東戦争
オイルショックの発端は、第四次中東戦争っていう戦争。
これは世界史的な内容になっちゃうから簡単に説明するけど、パレスチナっていう地域にあるエルサレムって都市(キリスト教やイスラム教、ユダヤ教の聖地と呼ばれる場所)があるワケ。
この地域を「もともと俺らの土地だ!」と主張してユダヤ人たちがイスラエルという国を建設。それに反対する国々がイスラエルに攻撃を仕掛ける・・・という宗教的な思想も織り交ぜられた戦争が繰り広げられた。
現在では戦争ではないけれどテロやゲリラなど紛争が続いている。
第四次中東戦争もパレスチナをめぐる戦争で、エジプト&シリア軍がイスラエル側に攻め込んだことで始まった。
問題なのはここから。
アメリカなど先進国のいくつかはイスラエル側を支援していて、一方エジプト・シリア側はアラブ諸国(サウジアラビアとか)が支援していた。
戦争がはじまると、サウジアラビアたちはイスラエルのバックについたアメリカを引きはがそうと画策する。
OAPECとOPEC
オイルショックを語るうえで外せないのが、このOAPEC(オアペック)・OPEC(オペック)という2つの組織。
似ていてちょっと分かりにくいね・・・。
OAPECは“アラブ石油輸出国機構”の略語。OAPECの“A”はアラブのAだ。
対してOPECは“石油輸出国機構”の略語。
OPECは当初
- イラン
- イラク
- ベネズエラ
- クウェート
- サウジアラビア
で、後に
- カタール
- アラブ首長国連邦
- リビア
- インドネシア etc...
とかが加わっていく。
OPECは第三次中東戦争の時にアメリカとかに対して石油の禁輸をした。
さっきも言ったように、アラブ系の国々はイスラエルやその後ろにいるアメリカを敵対視してるからね。
ただここで一つ問題が起きた。
実はこのOPECの中に「アラブ系じゃない国」がある。
例えばイランとか、ベネズエラとか、インドネシアとかだ。
これらアラブ系じゃない国が、アメリカとかに石油をバンバン売っちゃってたわけ。
OPEC内でアメリカに対する対応が異なっていたんだね。
アラブ諸国的には「いやいや、イランとかベネズエラがアメリカに石油売ってたら意味ねーだろ!もうアラブ諸国だけで別の組織作るわ」
となって、サウジアラビア・クウェート・リビアがOAPECっていうアラブ諸国だけでの石油組織を作ったってわけだ。
第一次オイルショック
イスラエルを支援するアメリカたちを苦しめるべく、まずOAPECが1973年に「石油の禁輸・制限」を発表。
「イスラエルを支援したり、支持したりする国には俺たちの石油を売らないぞ!」と決めたわけだ。
これに加えて、OPECも連動して「俺たちが売る石油の価格を4倍にしまーす!」と発表。
これは本当に大事件だった。
1970年代の先進国は(今でも割とそうだけど)ものすごく石油に頼っていたんだ。
「何をするにも石油が必要」って言ってもいいくらいに。
そんな中でアラブ諸国は石油売ってくれないわ、今まで売ってくれていたイランやベネズエラも石油の価格4倍にしちゃうわで先進国は大混乱。
日本も当然影響を受けた。
そもそも日本はオイルショックが起きた1973年の時には、ニクソンショックの影響で輸出産業がダメになって不況。ついでに日本政府の政策の影響で結構なインフレに足を突っ込み始めていたんだけど、そこにオイルショックが追い打ちをかけてきた。
石油を使ってできる商品は軒並み値上げされるし、この値上げに便乗して全く石油に関係ない商品も値上げされたりしてモノの価格がめちゃくちゃ上がってしまう。(狂乱物価とか言う。)
要するに急激なインフレーションってわけね。
ただオイルショックによるインフレが普通のインフレとはちょっと違う。
「不況なのに物価だけが上がっていく」という全く良いことのないインフレだったんだよね、これ。別名スタグフレーションともいう。
結局日本政府はこの物価の高騰を止めるべく、企業がお金を借りづらくしたり設備投資を抑制させたりすることで対応した。
この一連の騒動で国内のモノやサービスの生産が一気に冷え込んで、なんと経済成長率がマイナスになってしまう。
高度経済成長は、この瞬間をもって完全に終了した。
これが、第一次オイルショックという事件だ。