前回は、国学者・賀茂真淵について見てきたね。
万葉集の研究から「ますらをぶり」の精神を見いだし、「万葉集のように男らしくおおらかであるべきだ」としていたね。
今回紹介する国学者・本居宣長は、
- 古事記研究の最高傑作である『古事記伝』の執筆
- 賀茂真淵が「たおやめぶり(女性的である)」としてバカにしていた『源氏物語』のなかに「もののあはれ」の精神を見いだす
という功績を持っている。
なにがなんだかさっぱりだね。
詳しく見ていこう。
本居宣長の名著・古事記伝とは
本居宣長は、契沖の書いた『万葉代匠記』を学び・賀茂真淵を師匠として古道説(復古神道)を学んだ。
国学の英才教育を受けてきたんだ。
その真淵に勧められ、日本最古の歴史書である『古事記』の研究をはじめた。
そして実に35年もの歳月を費やして完成させたのが、『古事記伝』。
『古事記伝』は非常に詳細な研究が為された注釈書のことで、現在でも古事記研究をするには『古事記伝』は欠かせない、といわれるほどに完成度が高い。
また、『古事記伝』の中では「儒教を廃して、日本古来の精神である“真心”を大切にするべきだ」と主張した。
このような国学的な思想が入っちゃっているせいで、のちのち低評価を受けることにもなる。
だけどそれを差し引いても、古事記研究書としての完成度は素晴らしかった。
前編まとめ
『古事記伝』の誕生は、現在行われている古代研究においても非常に重要な出来事だったんだ。
後編では、本居宣長が源氏物語から見いだした「もののあはれ」について詳しく見ていくよ。