今回は、前回見てきた「GHQが行った占領政策」の中から、「戦犯の処刑」について見ていこう。
この戦犯の処刑に関して行われたのが、「極東国際軍事裁判」、通称「東京裁判」とも言われる裁判だ。
端的にいえば、「太平洋戦争を起こした日本の戦争犯罪人(戦犯)を裁く」という裁判のこと。
ただ、この裁判は世界的に見ても非常に「賛否両論(どちらかというと否が多い)」の裁判なんだ。
極東国際軍事裁判の内容って?
まずはこの極東国際軍事裁判(東京裁判)の中で重要な「戦犯」というものについて。
戦犯っていうのは正式名称「戦争犯罪人」で、国際法で定められた「平和に対する罪」「普通の戦争犯罪」「人道に対する罪」のどれかに当てはまる人のことを言う。
「平和に対する罪」に該当する人は“A級戦犯”、「普通の戦争犯罪」に該当する人は“B級戦犯”、「人道に対する罪」に該当する人は“C級戦犯”と呼ばれる。
この中で重要なのは、A級戦犯。
東京裁判では、A級戦犯の被告人として最終的に28名が起訴された。
で、結果として、
関東軍のトップにいた板垣征四郎、開戦時の首相だった東条英機、軍人ではないけど日本を戦争に推し進めたとして広田弘毅らが死刑になった。計7人が死刑、そのほかは終身刑や禁固刑になった。
ちなみにトンデモ総理近衛文麿は、A級戦犯に指定されたことを受けて自殺している。
極東国際軍事裁判の問題点は「勝てば官軍」
ところで、冒頭でこの東京裁判が「賛否両論(否が多い)」裁判だったと言ったけど、これはなぜか。
みんな「勝てば官軍 負ければ賊軍」って言葉知ってる?
どういう経緯であれ、勝利したものが正義で敗北したものが悪になる、という格言みたいなもの。
この東京裁判は、まさにこの状態だった。
東京裁判を開催するのはだれかというと、もちろん連合国側だね。
連合国は、第二次世界大戦と勝戦国。
となれば当然、戦勝国側が好き勝手裁判の仕組みを作れる(都合のいい裁判にできる)ということになるわけだ。
これを一般的には「勝者の裁き」とか言ったりする。
実際に国際法の専門家たちの多くが「東京裁判は勝者の裁きじゃね?」という意見を出している。
例えば、
- 東京裁判は「軍事裁判」のはずなのに、広田弘毅など軍人じゃない人まで裁かれている
- 東京裁判の時点で、戦争犯罪を裁く明確な法律がなかったのに、後付けで法律作って適用している
- 裁く側の判事がみんな戦勝国側の人で公平じゃない
- 戦勝国のアメリカは民間人への無差別爆撃、原爆投下をしたのに、それが戦争犯罪に問われていない
- 裁判の「有罪の証拠がなければ無罪にする」という基本が最初から無視されていた
などなど。
まあ、ごもっともって感じの内容だね。
どうみても「普通の裁判」ではなかったことが分かる。
特に一番「勝者の裁き」感があるのは、民間人を無差別に殺傷した原爆を落としたアメリカが戦争犯罪に認定されてないとこだよね。
原爆なんて、民間人の虐殺と捉えてもおかしくないのにね。
まあ、結局のところ当時は法律も完璧に整備されてたわけでもなく。「勝者の裁き」が黙認されるような時代だったわけだね。