前回まで、化政文化の様々な思想・学問、教育について見てきたね。
さあ、今回からは化政文化の“文学”についてだ。
まずは、小説から。
滑稽本ってなんだ?
滑稽本は、戯作(俗っぽさのある小説)の一種だ。
「滑稽」という言葉どおり、面白さがある文学作品となっている。
会話文が主で、その中に言葉遊びや登場人物のイカれた行動や発言、さらに下ネタで笑いをとろうとしてくる。
滑稽本で有名なのは、式亭三馬の書いた『浮世風呂』や十返舎一九の『東海道中膝栗毛』などがある。
『浮世風呂』は風呂を舞台に繰り広げられる笑い話、『東海道中膝栗毛』は江戸から伊勢神宮へ向かう2人の主人公をテーマにした笑い話だ。
人情本はどんなジャンル?
人情本は、主に色恋沙汰を描いたもの。
こう聞くと、「あれ?洒落本と変わんなくない?」と思える。
洒落本は遊郭ガイドブック兼、「粋」を楽しむ文学だったよね。
対して人情本は洒落本よりもストーリーを重視している。
大体は町人の若旦那や番頭らが遊女や町の娘、芸者などと恋に落ち、この恋路を邪魔しようとする悪党を女性の機転で退け、めでたしめでたしで終わる。
途中でお色気描写なんかもあるのが特徴。
泣かせる話の場合は特に「泣本」と呼ばれることもあった。
非常に文章が読みやすかったことや恋愛模様を深く表現した人情本は、庶民の女性たちに大人気となった。
有名なのは為永春水の『春色梅児誉美(しゅんんしょくうめごよみ)』。
恋愛モノの物語では王道の「三角関係」を描いたお話で、江戸の女子・女性たちの間で超人気となった。
まとめ
化政文化の小説は「読みやすさ」や「話の面白さ」が大きなポイントだね。
次回からは式亭三馬や為永春水など、滑稽本・人情本作者たちに迫っていくよ。