寄進地系荘園を簡単にわかりやすく!初期荘園との違いは?

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今回はずばり「荘園」の話。

 

荘園ってホントにわかりにくい部分だと思うんだ。

現代日本にはない仕組みだし、言葉から大体どんなもんかのイメージも付きにくいしね。

 

今回は、その荘園の中でもとりわけ重要な寄進地系荘園について。

初期荘園とも比較しながら詳しく見ていくよ。

初期荘園をめぐる問題点

 

“初期荘園”を覚えているかな?

 

墾田永年私財法がきっかけで生まれた田んぼとその周辺地域を総称して「初期荘園」というんだったね。

特徴としては、

 

  • 金持ちの貴族・寺社が積極的に作った
  • 私有できるけど租税の対象

 

という田んぼだったね。

 

しかし、この初期荘園の誕生は、次第に国の財政難・ひいては律令制そのものの崩壊を促してしまうんだ。

 

・・・これ、なんかいまいちピンと来なくない?

初期荘園ができたとしても、国民には口分田を配ってるんだからそこから税はとれるはずだし、初期荘園にも税はかけられるはずなんだから。

 

確かに理想通りいけば律令制を維持できたかもしれない。理想通りいけばね。

 

実際は思い描いていたような結果にはならなかったんだ。

 

 

①重い税負担で農民たちが逃げ出す

 

まず農民たちにとって、かけられる税は非常に重かった。

租庸調をはじめとして色んな税があるのに、それに対して貰える口分田の量が割に合ってなかったんだ。

 

天気が悪くて不作になればアウトだしね。

 

この税の重さに耐えられなくなった農民の中には、戸籍に登録されないよう夜逃げして各地を放浪する者が出てきた。

その放浪農民たちが行き着く先は・・・。

 

初期荘園だった。

 

どういうことかというと、

 

  1. 税負担を逃れようと田んぼを捨てて各地をさまよう農民が増える
  2. 一方金持ちたちはガンガン開墾して私有地を増やすも、耕す人がたりない
  3. 金持ちたちがウロついてる浮浪農民たちを荘園で働かせるようにする

 

と、金持ちと浮浪農民たちの間で需要と供給が一致したわけ。

 

国の重い税を負担するくらいなら荘園で働いた方がマシだ、ということで農民たちが次々と口分田を捨てて荘園に行ってしまう。

こうなると国は困るよね。税を払ってくれるはずの農民が減ってしまうんだから。

 

こういった流れが主な原因となって、班田制・律令制は崩壊に向かっていく。

 

 

②金持ちたちも税逃れを始める

 

でもまだ疑問が残っている人もいるんじゃないかな?

「農民たちがダメなら荘園に税をいっぱいかければいいじゃない!」ってね。

 

でもこれも理想通りうまくはいかなかったんだ。

 

実際国も財政難を解決すべく、国司に「おいもっと荘園から税とってこい」と命じる。

国司としても、税を大量にとってそのうち一部をネコババすれば自分の利益になるから喜んで増税を行った。

 

荘園をもつ貴族側としても、当然増税はイヤなわけだ。

どうにかして税逃れができないか、と考えていたら、一ついい案が生まれた。

 

それこそ、寄進地系荘園だった。

 

寄進地系荘園

 

国司による重い増税。

当然これには荘園の所有者たちも納得いかない。

 

金持ちと言ってもピンキリで、今風にいうと年収1千万くらいの小金もちもいれば、年収数億の大金持ちもいる。

 

大金持ちは増税されても大丈夫かもしれないけど、小金持ちは増税されるとキツイ。

 

そこで、増税を逃れたい小金持ちたちは、

「大金持ちの人に自分の土地を“寄付(寄進)”して大金持ちの人に一定の税を払うかわりに、自分の土地は自分で管理させてもらうという行動をとり始めた。

 

この仕組みの何がいいかっていうと

  • 小金持ちは国の税ほどキツくはない量の税を大金持ちに払うだけで、問題なくこれまで通りの生活ができる
  • 大金持ちは寄進してきた小金持ちたちから、何もしなくても税を受け取れる

という、双方へのメリットがあるわけ。

 

これが寄進地系荘園のはじまりだ。

今では領域型荘園ともいう。

 

この寄進が流行したことで、国司や朝廷が手にする税はますます減っていき、律令制の崩壊に拍車をかけることになった。

ついでにいうと、大金持ちの中には朝廷の官僚とパイプを持っている人もいて、無理やり自分の荘園に税をかけさせない特例を作らせる人もいた。

 

これじゃあ律令制なんてやってらんないよね。

 

 

律令制が完全に崩壊してしまうと、今度は朝廷で働く偉い官僚たちすらも、税収を得るため「うちに土地寄進してくれ~」というようになる。

大金持ちたちは、「朝廷で権威のある名門家に寄進したら将来安泰だろう」と考え大金持ちが名門家に寄進。

 

こうした寄進ループによって、荘園による税収維持の仕組みが出来上がっていく。(荘園公領制)

 

 

寄進地系荘園のイメージ、ついたかな。

 

初期荘園は、墾田永年私財法を受けて、金持ちたちが開墾しまくって誕生したもの。

対して寄進地系荘園は、律令制崩壊による増税を受けて、それを回避する目的で誕生したもの・・・という違いがある。

 

こうしてみると初期荘園と寄進地系荘園は、その性質が全く違うことが見て取れるね。

初期荘園と寄進地系荘園は似て非なるもの・・・ってイメージを念頭に置いておくと、理解がしやすいかもしれない。

 

 

 

 

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