さあ、「空米取引編」の中編だ。
いよいよ「空米取引」の核心に迫っていくよ。
空米取引とは、先物取引のことだ!
前の項で話したような、毎年の給料の変動にどう対処するか。
ここで登場するのが「空米取引」。
この仕組みは「先物取引」と呼ばれる。
先物取引は、「将来手に入るであろう商品を、あらかじめ価格を決めて取引しておく」というもの。
なかなか想像しにくいから、さっきの例で考えてみよう。
去年の米のレートは1石=10万円だった。
ここで得られるお金は10億円だったね。
このレートが今年も同じだったらいいんだけど、今年が豊作かどうかは収穫してみないと分からない。
今年の米が収穫されるまで、去年より米の価格が落ちるのか上がるのかが分からないんだ。
もし今年が豊作だと、米の価格が下がっちゃうから給料も減る。武士にとってはマズイ。
そこで、収穫前にあらかじめレートを予想して、取引をすませちゃうんだ。
今回は、収穫前の7月ごろに武士が「1石=10万円のレートで取引します」と決めたとしよう。
時は流れ、今年の収穫が終わった。
結果は豊作。今年の米のレートは1石=9万円となった。
もし先物取引をしていなかったら、今年のレートである1石=9万円で取引せねばならず、去年から1億円も給料が減ってしまう。
しかし、この武士は7月の時点で「1石=10万円のレートで取引する」とあらかじめ決めておいたので、10万円×1万石=10億円を手にすることができる。
こうやって先物取引をすることで、リスクヘッジ(相場変動によるリスクを回避)できるんだ。
中編まとめ
今回は武士が得をしたパターンだけど、もちろん逆もある。
もし今年が大凶作で米が全然取れず、レートが1石=11万円になってたとしたら、11億円の給料になっていた。
先物取引で1石=10万円のレートで取引してしまっていると、1億円損をしてしまうことになる。
ただ、先物取引はあくまで「リスクヘッジ」。
大暴落なんかで自分の給料がガクンと減ったりすることを防ぐ目的で先物取引が使われていたんだよ。
後編では、この制度の「デメリット」について見ていくよ。