前回は、「足高の制」について見てきたね。
優秀な人材の給料を一時的にアップさせることで重要な職に就かせ、幕府をより良くしようとした制度だったね。
でも忘れちゃいけないのは江戸幕府がめっちゃ資金難だってこと。
人材登用制度としてはとってもいい制度なんだけど、プラスして給料を払っちゃってるから幕府の出費はさらに増えることになる。
どうしたもんか、ということで打ち出されたのが「上げ米の制」というわけだ。
上げ米の制ってどんな制度?
上げ米の制が敷かれた理由は、冒頭でも言った通り「幕府のヤバい財政状況」。
どんだけヤバかったかというと、役人に給料払えなくなるくらい。
現代の会社だったら倒産も近い。
幕府にとってもこれは本当にまずい状況だから、なんとか打開したい。
そこで上げ米の制が出された。
上げ米の制は諸藩の大名に対して、「1万石につき100石の米を上乗せして幕府に納めなさい」という内容。
これによって、当初の目的であった財政状況はいくらかの改善を見せた。
しかし、問題はここから。
上げ米の制は幕府の権威を失墜させる!?
一見すると上げ米の制はただの増税政策に思える。
だけど、よく考えるとこれ、幕府が大名に泣きついているように見えないかい?
事実、幕府は大名の力に頼っていたんだ。
大名に税金を課すというのは、「ボクお金ないからみんなお金ちょ―だーい!!」って醜態さらしてるのと同じ。
大名からすれば、自分を支配している親分が自分に金を借りに来てるわけで、当然舐められる。
加えて、幕府はこの制度を導入するにあたって「みんなから増税する代わりに参勤交代の期間を1年から半年にしてあげるよ!」とした。
これがまたマズイ。
参勤交代はもともと大名を監視し、押さえつける役割のもの。
これが半年になれば監視も行き届かなくなる部分も出てくるし、大名たちが江戸滞在中にか払う経費も抑えられる。
こうして大名たちは次第に力をつけ始めていくんだ。
まとめ
上げ米の制はあくまで一時的なものだった。だけど、この制度を使ったという事実は大名たちに「抵抗のチャンス」を与えていくことにもつながっていった。
おまけに、農民たちが払う年貢の量も間接的に増えたことで農民たちへのダメージも大きかった。
後々の歴史から見れば、このあたりが幕府の崩壊の序章になっていたとも言えるね。